一年に一回しかやらないインフルエンザの予防接種。私の場合刺した方の腕が筋肉痛になってしまう。
今回そんなことを忘れてしまい利き腕の右腕に刺し、あろう事かその夜焼きそばを中華鍋で一生懸命振ってしまった。
あとは分かるな……。
はい。こんにちは。
いつも料理系のブログで褒められて実は調子に乗ってます。ちゃんこです。
自己顕示欲が満たされるんじゃ〜^
さて、先日2日間かけて
「舟を編む」という作品を一気観しました。
この作品、学生の頃に父親が実写映画
の方を観ていたのを横目で聞いていた程度でして。
何となく話の内容は分かっていましたが細かい事は分からず、「面白そうな作品だなぁ。また機会があれば観たいな」程度に思っていた作品でした。
今回、こうしてブログをやっていてそのネタのためにと言ってはなんですが、こういう事をやっているなら是非とも観よう。という事で観ることを決意しました。(邪な理由です)
今回はアニメの方を中心に語っていきます。
あ。でもこれを機に実写映画の方も観ながらこのブログを書こうと思います😊
では早速感想参りましょう!
⚠️注意⚠️
個人の意見です
アニメの感想中心です
ネタバレあります
⚠️注意⚠️
まず、舟を編むという作品は
女性ファッション雑誌『CLASSY.』に、2009年11月号から2011年7月号にかけて連載され、2011年9月16日に光文社より単行本が発売された。雑誌連載時の挿絵や単行本の装画、文庫のカバー装画は、雲田はるこが担当。2012年、本屋大賞を受賞。
「玄武書房」に勤める変人編集部員・馬締光也が、新しく刊行する辞書『大渡海』の編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられ、個性豊かな編纂者たちが辞書の世界に没頭していく姿を描いた作品。「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」という意味でこの書名が付いている。執筆にあたって、岩波書店および小学館の辞書編集部の取材を行なっている。
2013年、石井裕也監督、松田龍平主演で映画化された。2016年10月から12月までテレビアニメが放送された。
【あらすじ】
出版社・玄武書房では中型国語辞典『大渡海』の刊行計画を進めていた。営業部員の馬締光也は、定年を間近に控えて後継者を探していた辞書編集部のベテラン編集者・荒木に引き抜かれ、辞書編集部に異動することになる。社内で「金食い虫」と呼ばれる辞書編集部であったが、馬締は言葉への強い執着心と持ち前の粘り強さを生かして、辞書編纂者として才能を発揮してゆく。
作中では『大渡海』の刊行計画のため編纂が開始される時代と、その13年後以上(映画版では12年後)の時代が舞台であり、実質的に2部構成である。
です。この内容を踏まえて話しますのでご了承ください。
頼ったり頼られたり
辞書、というものをゼロから作るには1年や2年では出来ません。
10年以上もの歳月をかけて作られます。
しかも、その作業はとても地味ですし、多くの人が関わっています。
そうなんです。
辞書作りは1人ではできません。
そこに多くの専門家や出版社の営業、印刷業や製紙業が関わってます。
この物語の主人公馬締(まじめ)光也は名前の通り物凄く真面目で、辞書作りに向いているくらい言葉に向き合う人です。
しかしコミュニケーション能力はからっきし。
最終的に彼が辞書作りの主任になり、ほぼ1人で作ることになります。
彼はどうしてできたのでしょうか。
なぜなら頼ることを覚えたからです。
コミュニケーション能力が高い今どきの若者の西岡、師となる松岡先生、そして、伴侶となる香具矢。
辞書作りを通して、彼はそんな人々に出会うことで人に頼り、頼られることの大切さを学んだんです。
これは辞書作りに関わらず、生きていく上でとても大事なことです。
人は独りぼっちでは生きていけません。
どんな人でも誰かとの関わりが必ずあります。
完全な独りというのは人間、いや生き物のほとんどが難しいことだと思います。
私も学生の頃は独りでも良いんだ、なんて思っていましたが、そんなことは無かったようです。
今思い返せば沢山の人を頼って、沢山の人に頼られてここまで生きてきました。
多分、いや絶対にこれからも沢山の人との関わりが待ってます。
そんな出会いを大事にしていきたいと思います。
ものを創る、という事
作中では「業」という言葉を使って、辞書を作る動機を表してます。
料理、芸術作品などは完璧な完成というものが無いです。それは辞書でもそうでした。
なぜならそれらは形になってもまだ改良の余地があるからです。
料理はアレンジはもちろん、より美味しくするために色々な調味料や調理技法を使ったりします。また、全く同じ味を作るのは難しいです。
芸術作品も同じです。音楽や絵画、彫刻など色々ありますが、それらに形や音があっても完璧というのは無いです。満足にいくものは出来たとしても完璧はない。だから追求し、鍛錬します。
辞書作りもそうです。
言葉は生きています。その時代によって変化し、産まれるのが言葉です。
だから辞書は改定をします。そこに完成なんてないです。
更に言うと物語の舞台は1990年代です。
この頃にはもうパソコンやPHSが出てきており、インターネットや電子辞書の普及が始まって来ていました。
そして完成するのは2000年代。
PHSが携帯電話やスマートフォンに変わり、インターネットは必要不可欠になった現代。
紙媒体の書籍が衰退している上に辞書を使う人は年々減少してきています。
これは辞書だけではなく、今言った料理や芸術作品関連でも言えることですよね。どんどん便利になって行き、簡略化され、元あったものが衰退していっています。
そういう完成が無く、衰退していくものをなぜ人は創り続けるのか。
そこに「業」があるからと作中では話してます。
ここで言う「業」とはなにか。
それには辞書にこう記されています。(紙の辞書が無く、Web辞書で申し訳ない……🤦♀️)
理性によって制御できない心の働き。
不合理とは分かっていても人は完璧な完成を追い求めます。
そこにはどうしようもない「何か」に駆られる気持ちがあるからです。
私も曲がりながら音楽をやっていました。
教育にも携わってました。
そのどちらも完璧な完成なんてないと思っていましたし、今でもその衝動に駆り立てられる事は良くあります。
だからこそこの作品を観ていて共感できる部分が多くありました。
自分が忘れていた気持ち、それを思い出させられた作品でした。
言葉が持つ力
先程チラリと話しましたが、
この世にある言葉は全て生きています。
それは産まれ、変化し、死んでいきます。
そして、世の中には人の手では抱えきれないほどの多くの言葉に溢れています。
そんな生物である言葉を使う、という事は本来難しいと思うのです。
色んな意味が含まれ、そして、人によっては捉え方が異なる言葉。
そんな言葉を容易に使うとどうなるか。
誤解が生じ、トラブルの元になります。
昨今SNSの普及で言葉の持つ力が軽く、容易なものとなってきています。
どんなものにでも、そこにちょっとした負の感情が産まれれば、その言葉を武器にして叩く。
言葉は本来、そんな使い方ではないと思うんです。
言葉はもっと重く、扱うには大きなもので、武器にしてはいけないものだも思うんです。
本作品を通して私も言葉を使って情報を発信している以上、軽く扱わないようにより研鑽していこうと思いました。
この作品で作る辞書は『大渡海』という名がつけられています。
この『大渡海』は
「言葉という大海原に飲まれてしまわないように人々を導く船でありたい」
という意味が込められています(これはちゃんこ個人の解釈で、作品では「言葉の海を渡る舟」という意味で、「もし辞書がなかったら、我々は茫漠とした大海原にたたずむ他ない」と表現されています。)
アニメや映画では言葉を海や一面の白い世界に溢れているものとして表しています。
主人公である馬締光也は多くの言葉を知りすぎているが故に言葉の海に飲まれ、上手く喋れない事があります。変な事を言ったり、言われたことをそのままに捉えていたりしてしまいます。
しかし、そんな彼だからこそ辞書を作る意味を深く理解しているのです。
自分のように茫漠とした大海原に佇んでいる人を導き、乗せる舟を作りたい。
そんな「業」に駆り立てられ彼は舟を編みました。
そして完成したのが『大渡海』
たった11話のアニメでしたが、彼の熱意を存分に感じ取ることが出来ました。
しかし、『大渡海』は完成では無いです。
言葉の海を渡るという旅にはゴールはありません。
馬締光也の世界で、彼が生きている限り、彼の後継者がいる限り改定され続け進み続けると思います。
色々語りましたが、やっぱり観てよかったと思える作品でした。
また、アニメと映画にはそれぞれ違いがありまして、その比較も楽しかったです。ネタバレになりますし、長くなるので全ては書きませんが、特にいいと思ったのが「恋」の表現。
アニメでは
人を好きになり、
いつまでもそばにいたいと思う気持ち
映画では
ある人を好きになってしまい、
寝ても覚めてもその人が頭から離れず、
他のことが手につかなくなり、
身悶えしたくなるような心の状態。
成就すれば、
天にものぼる気持ちになる
と言うふうに表現されています。
アニメは馬締光也の寡黙で静かな表現が出ていて好きですし、映画では彼の溢れ出る気持ちが表現されていて好きです。
このように「恋」ひとつとってもそれぞれの表現の違いがあるので観比べてみるのも楽しかったです。
レビューにあった言葉を借りますと、
「静かだけど熱い作品」
です。
言葉について見つめ直し、向き合うきっかけとなる作品ですので、気になった方は是非ご覧になって下さい🤗
では今日はこの辺で。
またの投稿でお会いしましょう🙌
質問箱でござる。そなたからの質問や感想にお答えするで候↓