ちゃんこの部屋

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波よ聞いてくれから考える北海道の都会が生み出すドラマ性

はい。こんにちは。ちゃんこです。

今回は、まじめな考察記事です。

2020年春アニメでいい意味で異彩を放っていた作品、

波よ聞いてくれ

について

「北海道の都会が生み出すドラマ性」

というところに焦点を当てて語っていこうと思います。

 

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©沙村広明講談社/藻岩山ラジオ編成局

 

⚠注意!⚠

ネタばれあります!

全話ご視聴している方しかわからない部分がございます!

あくまでも個人の意見です

⚠注意!⚠

 

まず、波よ聞いてくれ、とは

波よ聞いてくれ』(なみよきいてくれ)は、沙村広明による日本の青年漫画。北海道札幌市を舞台に、主人公がひょんなことからラジオパーソナリティとしてデビューし、奮闘する姿を描く。『月刊アフタヌーン』(講談社)において、2014年7月25日発売の9月号から連載開始。

 【あらすじ】

2015年6月4日、札幌市のスープカレー屋「VOYAGER」で働く鼓田ミナレは、職場のラジオから自分の声が流れていることに気づく。その前日、ミナレは、偶然知り合った地元のラジオ局「MRS」のディレクター・麻藤兼嗣を相手に失恋について愚痴っていたが、その愚痴は麻藤によって密録されており、その音源がラジオで流されていたのだった。ミナレは放送を止めるためにMRSに乗り込み、麻藤と再会するが、逆に彼に言いくるめられ、ラジオでアドリブトークを披露することになる。

その後、ミナレは、深夜帯に冠番組を与えられ、VOYAGERで働きつつラジオパーソナリティとしての活動を開始する。ミナレの番組『波よ聞いてくれ』は、麻藤の意向により「回ごとに企画を変える」という方針が採られており、ミナレも、自身の失恋から着想を得て制作された架空実況やオーディオドラマを放送したり、隣人を訪ねて収録を行ったり、構成作家の取材旅行に同行してレポートを録音したりと、パーソナリティとして番組作りに携わっていく。

波よ聞いてくれ - Wikipediaより引用

 

道民にとってのエンターテイナー

エンタメの世界、テレビ、ラジオ…今ならYouTubeも入ります。

そのような世界は北海道民にとっては参加して能動的に楽しむものではなく、受動的に見たり聞いたりして楽しむものという認識です。

特に冬の北海道は、吹雪や大雪があった場合は不要不急の外出をする人がほとんどいません。命にかかわりますからね。

なので北海道民には自然とアニメやドラマ、バラエティー番組といったテレビ・ラジオ番組などの視聴系の娯楽に親しむ人が多いです。

テレビっ子が多いのは道民の性といっても過言ではないくらいですね。

そんな道民にとってエンターテイナーは雲の上の存在です。

もっと言うと北海道から輩出したエンターテイナーたちは神様くらいすごい存在になるのです。(…といったら過言かな?(笑))

そんな物凄い地位にあるエンタメの世界。一般人がいきなりそんな世界に入ったら困惑というか、あまりにも上手すぎる話しだと警戒しますよね。

それって根底にあるのが

私なんかが、エンタメに関わっていいのだろうか

という不安。

主人公であるミナレにはそんな不安というか、漠然とした気持ちがあったと考察します。

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©沙村広明講談社/藻岩山ラジオ編成局

実際にそんな姿はほとんど感じませんでしたが、最終話目前までラジオの冠番組を持つという自覚がなかったというところからうかがえました。

これは北海道民だからこそわかるというか、北海道というところが舞台であるからこそ描ける独自のストーリーだったと思います。

 12話という短い期間でそんな道民性をすっきりとわかりやすく、そして面白く描いた作品でした。

 

札幌という北海道にとっての都会が生み出すドラマ性。

北海道が舞台のアニメは結構あります。

例えば

這いよれニャル子さん

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© 逢空万太ソフトバンク クリエイティブ/名状しがたい製作委員会のようなもの

生徒会の一存

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(C)2009 葵せきな狗神煌富士見書房/碧陽学園生徒会

などがございますが、これといって「北海道だあああああ!!!!」となるシーンが正直少なかったです。一応雪や建物の特徴など、「北海道民ならわかる」レベルの描写くらいでした。

しかし、この作品では

「北海道だ!!!」

と思わせる嬉しいシーンが多くありました。

例えばセイコーマートであったり…

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©沙村広明講談社/藻岩山ラジオ編成局

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©沙村広明講談社/藻岩山ラジオ編成局

ちょっとしたシーン街並みの様子

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©沙村広明講談社/藻岩山ラジオ編成局

そしてなんといってもこのオープニング

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©沙村広明講談社/藻岩山ラジオ編成局

そうなんです。北海道の。札幌の風景って、

雪や山などの自然の景色×ビルや住宅街などの街の景色

という相反する二つの風景が織り成す矛盾した背景があるんです。

そういった、北海道の自然だけではない独自の文化に根付いた風景というか、背景がこのアニメには満載でして、ほかにも語りたい箇所はありますが、写真がいくらあっても足りません(笑)

さて、背景などの部分のほかに、特にこの作品が「北海道に根付いたアニメだ」と感じたのは最終話での北海道胆振東部地震のシーン

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©沙村広明講談社/藻岩山ラジオ編成局

このシーンを観るまで

「このアニメが北海道である由縁は何なのか。」

と少し引っかかりを感じていました。どんなにセイコーマートが使われようが、どんなに背景にすすきの*1が使われようがあくまでもこのアニメはラジオが主軸なのである。別に北海道じゃなくてもいいのではないのだろうか、なんて思っていました。(北海道弁はそんなに出てこないし…(笑))

そう思っていた瞬間にこのシーン。

本当に鳥肌が立ちました。北海道民にとって忘れられないブラックアウト。この時に我々の思考を止めずにいられたのはラジオのおかげでした。不謹慎ではありますが、このシーンを観るまで、あの日、ラジオが我々道民にとってどれだけ心の支えになったか忘れていました。このアニメを観て改めてラジオの重要性や存在の大きさを感じました。

また、忘れていたのがこの景色。

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©沙村広明講談社/藻岩山ラジオ編成局

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©沙村広明講談社/藻岩山ラジオ編成局

 あの日とても星空が綺麗だったのです。とても不安な時を過ごした早朝でしたが、この空があったからこそ北海道に住んでいてよかった、この空がなかったら、あの日少しでも曇っていたら、不安だけではなかったと思います。思い出すと怖い記憶もございますし、コンビニ店員としてめちゃくちゃ大変だった日々でしたが、いまこうして振り返れるのも、北海道の景色があったからなんですよね。

改めて北海道という土地の良さ、そして尊敬という念が沸いた瞬間でした。

そして、この景色の前に行われたこのシーン。

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©沙村広明講談社/藻岩山ラジオ編成局

ディレターがミナレに向けたこの言葉。

まさに道民の気質である「私なんかが、エンタメに関わっていいのだろうか」という考えに突き刺さる言葉でした。

私もこうしてブログというエンタメをやっていますが、まだどこかで「収益もらってないし」「趣味だし」という気持ちがあります。

いつか何かのきっかけで収益を頂ける機会、趣味から仕事になる機会、もしかしたらあるのかもしれません。人生なのでわからないですよね。そんなことがあったとき、「趣味だから」「素人だから」という葛藤がどこかで生まれると私は思います。そんな時はこの人の言葉を思い出して、この活動を続けていきたいですね。

 

 

さて、ここまで語りましたが。

この作品ほど北海道と向き合って描かれたアニメ作品はちゃんこの人生の中で観たことがないです。

しかもこの物語の主人公であるミナレの声優さんは北海道札幌市出身の方という最高の組み合わせじゃないですか(ミナレは釧路生まれだけど細かいことは気にしない)

そんな北海道にまみれた作品ですので、普段アニメに親しまない方もドラマを観る感覚でご覧いただける作品だと思います。

ただ…

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©沙村広明講談社/藻岩山ラジオ編成局

キャラクターの瞳の影が不評だったみたいなんですよね…(´;ω;`)

個人的には絵画でもよく用いられる技法だと思っていたので気にならなかったのですが、これが受け付けることができるかできないか、それがカギとなっているかもですね…。

しかし!それよりもストーリーは最高で、2020年春アニメの中でトップクラスの作品ですので北海道民の方もそうではないかたもぜひご視聴ください!!

 

 

では今日はこの辺で。

またの投稿でお会いしましょう🙌

 

 

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